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Nuryanthi, N.*; 八巻 徹也; 喜多村 茜; 越川 博; 吉村 公男; 澤田 真一; 長谷川 伸; 浅野 雅春; 前川 康成; 鈴木 晶大*; et al.
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 40(4), p.359 - 362, 2015/12
ナノ構造制御したアニオン交換膜を作製するため、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)膜に塩化ビニルベンジルモノマーのイオン飛跡グラフト重合を行った。低フルエンスの照射の下でグラフト率をできる限り高めるため、グラフト重合における反応媒質の影響を検討した。反応媒質として純水(HO)とイソプロピルアルコール(PrOH)の混合液を用いた場合、560MeV Xeビームによるグラフト率は、HO/PrOH比の増大とともに高くなり、HOのみのとき最大となった。この結果は、いわゆるゲル効果に類似した現象を考えれば理解できる。すなわち、グラフト鎖は貧溶媒の存在下で反応媒質に不溶となって凝集し、他の鎖との再結合(言い換えれば停止反応)が抑制されることに起因すると考えられる。
八巻 徹也; 浅野 雅春; 吉田 勝
工業材料, 53(1), p.63 - 67, 2005/01
PEFC用の高分子電解質膜にかかわる重要な研究課題の一つとして、低湿度下で作動する膜の開発がある。原研では、PTFE膜に放射線で架橋構造を付与し、それに放射線グラフト重合法を応用することにより、プロトン伝導を担う官能基(スルホン酸基)の量を従来の3倍にまで高めた新しいフッ素系高分子電解質膜を作製する技術を開発した。そして、最近の研究において、スルホン酸基の量を制御した架橋PTFE電解質膜に対し、温度,相対湿度(R.H.)の制御下でプロトン伝導性を検討したところ、その指標である伝導率がR.H.を下げても大きく低下せず、低加湿の条件下であっても高伝導膜として十分に機能することがわかった。本稿では、独自開発による架橋PTFE電解質膜の作製技術とプロトン伝導性、さらには今後の課題などを紹介する。
八巻 徹也; 吉田 勝
燃料電池, 4(3), p.73 - 78, 2005/01
固体高分子形燃料電池用の電解質膜として広く使われているナフィオンでは、プロトン伝導性を維持するのに絶えず加湿して高い含水状態を保たなければならず、膜の乾燥による作動中の出力低下が問題となっている。また、高分子主鎖に架橋構造を持たないため、水や燃料として用いられるメタノールによって大きく膨潤してしまい、このことも実用化を妨げている要因の一つである。われわれは、架橋構造を付与したPTFE膜に放射線グラフト重合法を応用することにより、プロトン伝導を担うスルホン酸基の量を最大でナフィオンの3倍にまで高めた新しいフッ素系高分子電解質膜を作製し、そのプロトン伝導性が相対湿度(R.H.)を下げても大きく低下しないことを明らかにした。例えば、相対湿度70%という低加湿の下では、ナフィオンの4倍に相当する伝導度0.14S/cmを示し、実用上十分なレベルであった。親水性領域をキャピラリーに見立てたミクロなモデルで伝導機構について考察した結果、高いイオン交換容量と寸法安定性を兼ね備えていることが高伝導性の原因と考えられた。
Nuryanthi, N.*; 八巻 徹也; 喜多村 茜; 越川 博; 吉村 公男; 澤田 真一; 長谷川 伸; 浅野 雅春; 前川 康成; 鈴木 晶大*; et al.
no journal, ,
ナノ構造制御したアニオン交換膜を作製するため、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体膜に塩化ビニルベンジルモノマーのイオン飛跡グラフト重合を行った。低フルエンスの照射の下でグラフト率をできる限り高めるため、グラフト重合における反応媒質の影響を検討するとともに、放射線化学的な興味から線グラフト重合との比較を試みた。反応媒質として純水(HO)とイソプロピルアルコール(iPrOH)の混合液を用いた場合、560MeV Xeビームによるグラフト率は、HO/iPrOH比の増大とともに高くなり、HOのみのとき最大となった。線グラフト重合においても、反応媒質の影響は同じ傾向を示したが、グラフト率自体は同線量の前照射の下で低く、イオンビームとの線種の違いが確認された。
八巻 徹也; Nuryanthi, N.*; 喜多村 茜; 越川 博; 吉村 公男; 澤田 真一; 浅野 雅春*; 前川 康成; 鈴木 晶大*; 寺井 隆幸*
no journal, ,
イオン飛跡グラフト重合を利用した燃料電池用アニオン交換膜の開発では、照射イオンのフルエンスを低くした上で、いかにグラフト率(DOG)を増加させ十分なイオン交換容量を確保するかが鍵である。本研究では、DOGを高める試みとして、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)膜への塩化ビニルベンジル(VBC)のイオン飛跡グラフト重合を異なる反応媒質で行い、その効果をDOGの経時変化から速度論に基づいて解析した。具体的には、反応媒質である水-イソプロピルアルコール溶液の混合比を変化させ、そのときに初期重合速度(r)、ラジカル再結合速度()、グラフト効率(r/)が受ける影響を追跡した。ETFE鎖上のラジカルはVBCグラフト重合とイソプロピルアルコールへの連鎖移動との競合反応により消費されると仮定した上で、ゲル効果やETFE膜の膨潤を考慮すると、各因子の挙動はすべて説明することができた。
Nuryanthi, N.*; 八巻 徹也; 喜多村 茜; 越川 博; 吉村 公男; 澤田 真一; 浅野 雅春*; 前川 康成; 鈴木 晶大*; 寺井 隆幸*
no journal, ,
燃料電池用アニオン交換膜の開発手法としてイオン飛跡グラフト重合を利用している。この手法では、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)膜へイオン照射した後、その潜在飛跡の一つひとつに塩化ビニルベンジル(VBC)をグラフト重合する。本研究では、種々のイオンを照射したETFE膜における飛跡内ラジカルの挙動とVBCグラフト率との相関を調べた。イオンの質量数とエネルギーに対する依存性から、LETだけでなく飛跡内動径方向の線量分布を考慮する必要があることが初めて見出された。このような飛跡構造を制御することによって、得られるアニオン交換膜のさらなる性能向上が期待できる。
Nuryanthi, N.*; 八巻 徹也; 佐伯 誠一; 喜多村 茜; 越川 博; 吉村 公男; 澤田 真一; 寺井 隆幸*
no journal, ,
燃料電池用アニオン交換膜の開発においては、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)膜へ重イオンビームを照射した後、潜在飛跡の一つひとつに塩化ビニルベンジル(VBC)をグラフト重合するというイオン飛跡グラフト重合法を利用している。本研究では、飛跡構造の制御による膜性能の向上を目標として、種々のイオンを照射したETFE膜における飛跡内ラジカルの挙動とVBCグラフト率との相関を調べた。560MeV Xe, 330MeV Arを同線量だけ照射したときのグラフト率は、LETの低いArイオンの方が高かった。この結果から、グラフト率の制御因子として、LETだけでなく飛跡内動径方向の線量分布も考慮する必要があることが明らかになった。
Nuryanthi, N.*; 八巻 徹也; 喜多村 茜; 越川 博; 澤田 真一; 吉村 公男; 寺井 隆幸*
no journal, ,
高エネルギーイオンの潜在飛跡内に形成される励起活性種(ラジカルや過酸化物)によるグラフト重合を利用して、アルカリ燃料電池用アニオン交換膜の開発を進めている。今回、このいわゆるナノ構造制御アニオン交換膜が有するOH伝導性について調べたので報告する。アニオン交換膜の作製は、(1)エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体膜(25m厚)のイオンビーム照射、(2)照射膜への塩化ビニルベンジルモノマーのグラフト重合、(3)グラフト高分子鎖の四級化の順で行った。膜厚方向のOH伝導率をイオン交換容量に対してプロットすると、線グラフト重合で作製された従来のアニオン交換膜と比べて高伝導化の傾向が確認され、イオンビーム潜在飛跡への高密度導入による効果が示唆された。